事務所理念

当事務所の基軸となる考え方は、「社会の中で援助が必要であるにも関わらず、社会の援助を受けることが出来ない方への援助」です。そういった考えの中での当事務所の活動等を、当事務所の特徴としてご紹介します。

まず始めに、当事務所で一番多くのご相談を受ける、「ひきこもりやニートの方、またその家族の方へのカウンセリング」についてです。今現在、多くの支援団体や組織がひきこもりやニートといった方への援助を始めています。そのような中、社会復帰を当事者本人の希望と家族の希望を擦り合わせ、家族全体のカウンセリングを行いながら粘り強く改善していく団体、組織というのは多くないと思います。その理由は、支援者(団体)の負担が大きいこと、問題を解決する“正しい答え”というものがないため、臨機応変さが必要であること等が挙げられます。

このような問題を解決するには、どういった対応をすればいいのか。当事者や家族の話を聞いているだけでは、一時の解決にはなっても長期的な解決にはなりにくいのが現状です。その一例を挙げると、当事者が社会復帰する際には家族の支援が基本的には必要になります。しかし、御両親は仲が悪い、当事者のお子さんへの考え方も違う、となっている場合、長期的な解決策を取ることは困難です。そこで、まず親御さんの考え方を整理してから当事者への対処を構築した方がより良い解決策を取ることが可能です。このプロセスの部分が、一般的な組織や支援団体さんであれば、相談者へのヒアリングや対処はしっかり行われても、家族の複合的問題の解決というところには、手をつけない(気付かれない)例が多く見られます。

「した方がいいことをする。それがたとえ大変であっても。」簡単な話ですが、やるのは難しいかも知れません。そんな事を当たり前に出来るように、日夜がんばっているのが当事務所の特徴の一つといえるでしょう。

次に「水商売従事者の方へのカウンセリング」です。水商売関係の仕事に携わる方は、自分自身で「疲れている」という認識がどこかにあるのではないでしょうか。このような方が一般社会に比べて格段に多く、抱えている問題にも深刻なものが多数含まれる現状があります。それに対して、適切な手段で対処している(病院への通院など)といいのですが、そういった手段を取れていない人が多いという印象がぬぐえません。私自身も昔、水商売の末端として関わっていた中で、よりその印象は色濃く、深い物になりました。そのような中で、「水商売従事者の方へのカウンセリング」を行うことを具体的に考えるようになりました。現状、水商売従事者へのカウンセリングを専門的に行っている事務所は非常に少ないです、その中で、専門知識を持ってカウンセリングを行っているというのは、当事務所の特徴の一つといえます。

先述した方以外にも、学校や社会といったコミュニティの中で、対人関係に問題を抱える人が増えています。私自身もそういった事に悩んだ時期もありますし、今も難しく感じることが多々あります。社会の中で生きるということは、他者との関係を無視できないものだといえます。この対人関係の良し悪しが、その人の心の問題に強く関わってくることになります。そんな中で「対人関係をよりよく改善すること」というものに焦点をあてて専門化していきたいという結論に至りました。また、専門に特化するということは、問題アプローチを具体的にし、より多くの問題に対して貢献ができると考えています。

今まで述べてきたような、心理的問題を抱えている方が多いと解っているのに、手を差し伸べている機関は多くありません。そういった現状の改善、そして事務所として社会に貢献できればと考えています。「しんどい人がいれば助ける。当たり前のことを当たり前にする。それが社会で難しくても、差別偏見があっても、やった方がいいことならやればいい。」そう考えています。

ただ、大きな前提として、残念ながら私の性格上、様々な分野の相談をなんでもかんでも受け入れ、わからないことは当たり障りなくやるということはできません。専門に特化し、その専門に自分自身のプライドを賭け、自分自身のできる限りのことをする。

「日々新しい情報を勉強し、カウンセリングに生かす」

この「日々新しい情報を勉強し、カウンセリングに生かす」、これを実践してきたことにより、色々な団体様や企業様に、「動く事務所」とお褒めの言葉を頂いております。その由縁はフットワークが軽いことはもちろんですが、いろんな団体さんへのボランティア活動を通じて得た経験、学会に参加させていただいくことや、様々な分野の先進企業・団体への見学を通じて得た知識を、事務所での活動に上手く還元しているからではないかと思っております。「動く量」では他のカウンセリング事務所さんにはどこにも負けないと思っております。

この「動く事務所」ということも当事務所の大きな特徴であるといえるでしょう。

カウンセリング事務所としては珍しい形態だと思います。また、門戸を狭めることになるのかもしれません。しかし、中途半端なことはしたくないという考えから、このような形で運営したいと考えています。

社会には多くのカウンセリング事務所というものがあります。しかし、その多くが似たり寄ったりのホームページを作り、中身もそれぞれのカウンセリング事務所の差異が見いだしにくいと感じています(といったところから写真を多く、専門用語を使わないようにしています。難しい心理療法の説明も省いておりますが、基本的には精神分析や、認知行動療法、来談者中心療法を軸にし、家族システム論やピア的考えを用いた複合的なカウンセリングを行っております。問い合わせをしていただければ真摯にお応え致します)。さらにカウンセラーの経歴や顔をアピールし、少し心理学の知識があるものが読めば、大した内容ではないとわかるものを羅列する。少し勉強した事を「私の専門です」と謳う。「うちの事務所に来れば改善されます」とのアピールに余念がない。本当にクライアントのことを考えているのでしょうか。そのようなカウンセリング事務所に私は意味があるとは思えません。

加えて、心の問題というものは、できる限り本人が自分で解決しないといけません。カウンセラーが魔法のように問題を解決するなんてことはありません。あくまで本人が心の問題を解決できるようにするためのお手伝いをすることが、カウンセラーの役割であると考えています。それが話を真摯に聞くことや、アドバイスを示して解決の糸口をクライアントの方に掴んでいただくということをする理由です。他のカウンセリング事務所のような、「甘い言葉を並べるだけではない」ことも当事務所の特徴の一つといえます。

また、こう言った考えから当事務所のホームページの写真には私も含め、カウンセラー、研修生、利用者の方、ひきこもりだった当事者の方がみんなで写っています。こんなことが出来るカウンセリング事務所ってウチのところ以外ないんじゃないかな・・・と、本当に感じております。

こんな感じで私自身がむしゃらにやってまいりました。

事務所をあけて1年半。まだ1年半です。これからも一生懸命やっていこうと思っております!

最後に、カウンセラーの手に負えなければ、医師を紹介し薬物療法を行います。クライアント一人一人の問題を慎重に考慮し、公的機関と連携しながら問題の解決をいたします。助ける必要がある人を助ける。目を向けないといけないところから目を背けない。そんな当たり前のことを当たり前にできる、クライアントを第一に考えたカウンセリング事務所作りをしたいと考えています。

竹内 佑一